60VISION ロクマルビジョン 企業の原点を売り続けるブランディング

読みました。

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60 Vision ってご存じですか。
わたしは、なんかレトロな商品を扱っているなぁという印象だけでした。
しかし先日のグッドデザインエキスポでのナガオカケンメイさんの講演を
聞いて、興味を持ち、さっそく購入。熱いメッセージがたくさんこもった一冊でした。


60年代は自分のことより日本のデザインを少しでも良くしようとみんな一生懸命だった。

リサイクルショップで目にしたのは、まさにデザインの墓場のような光景

ゴミとして捨てられるかもしれないものをつくるより、ずっと使いたくなるデザインを発掘し、それを伝えていくことのほうがデザイナーの大切な仕事なのではないかと。

60VISIONは「ものをゴミにしない仕組み」そのものをデザインしていくプロジェクト

ものづくりの原点に立ち返ってデザインの本質を見直そう

結局は「もの」なのです。いろいろな気持ちがものに置き換わっているのです

広告を出すときには、企業や商品の理念を伝え企業ブランドをつくっていく「アドバタイジング」と、
個々の具体的な商品を売るための「プロモーション」という二つの手法があります。

「そうか、デザインは資産として社内にあった!」

60VISIONでは、原点商品の復刻だけではなく、ロクマルプラスの商品づくりの一環として、社内デザイナーと僕らが一緒になって、「会社の原点というべき商品を見つめながら、オリジナルデザインを起こす」という作業も進めています。

わかっているはずの「自分たちの会社らしいものづくり」について再確認しながら、先代のつくったものや、ものづくりに対する考え方などを、時間をかけて見直す。

社内にデザイナーがいるということがとても大切なことだと、僕は常に思っています。

語れるストーリーがある商品だからそこ、テレビでも効果的にアピールできたのでしょう。

もちろん企業である以上、利益を出すことは必要です。でも今のようなものづくりを続けていては、企業の原点は見失われてしまいます。ですから、60VISIONではそれとは違うものづくりをしていきましょう、と提案しているわけです。

技術伝承のひとつの方法として、企業の原点商品を囲んで、それをつくった昔の職人と今の社内デザイナーが話し合う機会を設けています。

企業のDNAともいうべき原点商品にもう一度鮮度を吹き込み、価格競争に巻き込まれない新しいマーケットで付加価値の高い商品を提案しながら、消費者にブランドの理念やその背景にある企業意志や信念を伝えていく

今の日本社会は、「ブランド」を「育てる」ものではなく「買う」ものになっています。

多くのものづくり企業はいいます。「ブランドと意識されるような企業になりたい」と。しかし、思うのです。「自分たちの想い」がない企業など、ブランドになり得ません。またそれは、お金で獲得できるものでもありませんし、広告で装うことで獲得できるものでもありません。働いている社員のひとりひとりからにじみ出るもの。その企業の、社会に対する普段からの意識。そして、それが生活者に伝わるような「もの」として形になったもの。そう、とてもとても、手間のかかることです。