ノマドの時代

読みました。黒川紀章さんの著書。建築家とばかり思っていましたが、先の時代を見ることができるビジョナリーでもあったのですのね。1989年の著書ですが、今読んでも多くの気づきを得られる一冊でした。

工業化社会の終焉と情報化社会の誕生。
新遊牧騎馬民族ノマドの時代。

キーワード
1.遊牧騎馬民族
2.江戸
3.情報化

私は、21世紀のライフスタイル予測にとって、遊牧騎馬民族をプレテクストとして推考する方法が有効だと信じている。日本人の血の中に遊牧騎馬民族的な性格が生きている。その血が重要な役割を演じる。騎馬民族遊牧民にとって、重要なライフスタイルは、移動のライフスタイル、旅のライフスタイルである。

もう一つ忘れてならないのが、オアシス都市の存在だ。オアシス都市は、情報を収集し、兵士を調達し、食料や家畜と生活必需品や装飾品との交換という交易を行い、結婚の相手を探すという重要な生活の場であり、経済活動の場なのである。また、旅の疲れを休め、気力を充実させるリゾート都市でもあった。江戸をこのようなオアシス都市と考えることはできないか。江戸そのものが未来都市ではない。江戸の都市を特殊な色眼鏡で見ると、未来の情報都市、未来のライフスタイルが見えてくるのである。

歴史の研究は、私たちが未来をどう考え、生きていくかという「願い」とつながらなくては意味がない。あなたが研究で得たものを、どのようにして「未来のテクスト」としうるかにかかっている。