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アートディレクション

読みました。

アートディレクション (1968年)

アートディレクション (1968年)

デザイナーの方なら知らない人はいない超有名な永井一正さんの絶版本。
どこにも売ってないし、古本で3万円!というベラボーな値付けされているので、手が出ませんでした。当時で定価1000円です。
昭和43年の本なのですが、まったく色あせない内容、今でも十分に通用します。教科書にすればいいのに。
広告デザイン、グラフィックデザインに必要な11のキーワードとの解説と、それを表現した作品をふんだんに掲載され、また永井さんの解説付きです。かなり勉強になります。

●良い広告とは
・良い広告をつくるには、良い商品があり、その上にクライアントとクリエーターの相互理解が必要である。
 さらには、良い広告とはどんな広告を指すのかという理念の一致が必要。

●1. グラフィックデザインとアドバタイジングデザイン
・もともと広告の主導権はコピーライターが握っていた。
 デザイナーは、ビジュアライザーと呼ばれ、単に視覚化するだけの役割でしかなかった。
・広告において、商品を売るためのアイデアが、すべてに先行する。
 そのアイデアは、商品そのものの中から、引き出されるもの。
 そのためには、アートディレクターとコピーライターが同等の資格で、
 ともにアイデアを練るシステムが必要。
・美しくグラフィカルな広告は、もはや過去の広告。

●2. 意味性
・広告におけるイメージづくりとは、意味性=特性と考える。意味づけである。
・広告が加味されない製品は、たんなる物体である。商品としての価値はない。
・人は単に商品を買うのではなく、商品のイメージを買う。

●3. 人間性
・クリエーターは、その商品を愛し、消費者の立場に立って、広告をつくるべき。
・クリエーターは、自分が手がけた仕事が消費者のためになるという信念を持つべき。
・人間性を訴求する、理屈より感情に訴える、頭脳よりハートである、
 その広告を見た瞬間に誘い込まれるような人間的共感と感動がなければいけない。

●4. 創造性
・創造性とは、自分自身がつくり出した新しい価値でなければならない。
グラフィックデザインの価値は、時代の先端を走り、今日だだ今に密着し、
 時代そのものを表現すること。
・評価の基準は、積年の修練とか努力とか思想ではない。
 現代的に否定できない何か、現代にすごい衝撃をもたらす何かなのである。
・クリエイターにとって、一番大切なことは創造性を失わないこと。

●5. 説得
・広告の役目は、あの手この手で、人をこちらにひきつけること。
・振り向かせようと躍起になった表現は、暴力行為と変わらない。
・広告における説得とは、まず共感からはじまるもの。
・軽くて、さわやかで、ビジュアルな表現が、説得につながる。
・説得とは、一つのことを極力整理し、確信と自信を持って、相手にぶつけること。

●6. 美しさ
・内容を伴わない美しさには、魅力は生じない。
・最近の広告は、コミュニケーションの機能を重んじるばかりに、
 人が見てひきつけられて読むという、最も素朴な重要性を見失っている。

●7. 現代性
・現代性とは、世間一般の認識よりも一歩出ていること。

●8. アイデア
・日本の広告は、アイデアが貧困である。
 その根底は、クリエーターにユーモアがないこと。
・日本の広告には、頓知が多い。
 その頓知も広告全体をおおわずに、コピーの部分だけで終わってしまっている。
・日本の広告は、冗談よりも、真面目な印象をうえつけることで精一杯。

●9. 情念
・情念とは、意識下の世界の出来事。意識は氷山の一角、大半を占めるその下の部分。
・現在の広告において、情念の欠如が明らか。秩序の中でつくられている。
・あきらかにコミュニケーション理論、機能的観念の行き過ぎ。

●10. 一貫性
・一貫したデザインポリシーを持つ企業は、日本にはほとんどない。

●11. 造型性
・造型性とは、人間の本能や感情を奮い起こさせるもの。イラスト、写真。
・造型と、受け手の個人との間には、言語ではないコミュニケーションが成り立つ。
・広告、デザインの造型は、人間を本能的にゆざぶる作用をもっているはず。
・ゆざぶる一方で、論理的な方向付けを行うのが、「言葉」「コピー」である。
・言語とビジュアルは分けて考えるものではなく、それぞれの特徴を考えるべき。
・広告は手段ではなく、自立性が求められる。
 自立性とは、見た人の本能をかきたてる度合が強いもの。存在価値の強いもの。