大震災の後で人生について語るということ

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大震災の後で人生について語るということ

大震災の後で人生について語るということ

橘さんの著書はこれまでも何冊か読んでいたので、目新しいことは特になく買わなくてよかったかもとか思ったり。これまで同様にどっぷりとサラリーマンでいること、資産がマイホームだけになることのリスクの高さを説いています。

●リスクとは何か
・欲望と同様に、それによって人々の行動を規定するもの。

●ポスト3.11の世界とは
・「神話」を奪われた世界を生きるということ。
・日本の4つの神話
 1.不動産神話
 2.会社神話
 3.円神話
 4.国家神話 年金で暮らす

●日本を襲った2羽のブラックスワン
・大震災と原発事故
ブラックスワンとは
 ありえないこと、起こりえないことの比喩。
 英語では無駄な努力をすることにも例えられた。
ブラックスワンの3つの特徴
 1.異常であること。
 2.とてつもなく大きな衝撃があること。
 3.それが起こってから適当な説明をでっち上げること。
・想定外、絶対安全、クリーン

●日本は世界に冠たる自殺大国
・1997年の金融危機以降、中高年が次々と死んでいる。
・累計10万人以上

●なぜ日本人は自殺するのか
・どの国でも、死にたい人はいない。
 本能に生きることへの強烈な欲望を組み込まれている。
・しかしそれにも関わらず、自殺を選ぶ強烈な圧力がかかっている。
・中高年の男性には、経済的なリスクが高い。
 仕事を失っても、住宅ローンの返済や子供の教育費などの出費は変わらない。
 消費者金融から高利の金を借りて凌ぐしかない。
 行き詰まれば闇金
 最後は生命保険で借金を清算。
・失業によって人生設計の経済的な基盤が根こそぎ奪われる。

●サラリーマンというリスク
・会社から毎月給料という配当を受取り、
 退職金として元金が償還される債券を買うようなもの。
・人的資本がポートフォリオの大部分を占める。
・会社に就職した時点で定年までの人的資本が確定する。
・重要なのは、マニュアル化できない独自のノウハウ、
 人間関係、権力構造。
・終身雇用を前提とした、若いときの低賃金労働と多額の退職金。
・サラリーマンが真面目なのは、仕事をさぼって解雇された時に
 失うものがあまりにも大きいから。
・アメリカの会社は一般的技能、日本の会社は企業特殊技能によって運営。
・サラリーマンのは、満額の退職金をもらってはじめて帳尻があう。
 20代、30代は低賃金、長時間労働は当たり前。
 20年先にならなければサラリーマンの良さは分からない。
・かつてはサラリーマンとマイホームが人生設計における最強戦略。
・タマゴを一つのカゴに盛る、という危険。

●経済的独立
・自分と家族の生活を守ることができる最低限の金融資本を持つこと。
・この世界は残酷で理不尽。
 大規模な自然災害や経済的な変動が起きたときに、
 最も弱い人たちに被害が集中する。
 人生設計のポートフォリオがあまりにも脆弱なので、想定外の衝撃に耐えられない。
 必要なのは社会全体のリスク耐性を上げ、リスク許容度の低い個人を支えること。