少女のゆくえ―インタビューの向こうに見えるもの

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少女のゆくえ―インタビューの向こうに見えるもの

少女のゆくえ―インタビューの向こうに見えるもの

人から勧められて手にした、一冊。女子高生を中心に長年デプスインタビューを続けておられる村岡清子さんの著書。
1996年の本なので、トレンド的には古いですが、そこに描かれる女性の本音は、男性から見たときに、驚くべき内容ばかり!女性不信になるとは言いませんが、180°視点が大きく変わるほどのインパクトがありました。こ、怖いww

●なぜ若い世代をインタビューし続けるのか
・10〜20代は「大人でも子どもでもない」とき。
・仕事や家庭への責任といった拘束がなく、個人としての自由を持てる年代。
・子どものように好奇心を持ち、大人のような行動力を持つ。
・いい意味でも悪い意味でも自由で無責任だからこそ、その言動は時代の本質を体現する。
・若者の特殊性に興味を持ち、その年代にこだわり、インタビューを行い、調査し、研究してきた。

●売春する女の子
・自分の体を大切にする、という感覚は希薄。逆に傷つかないための手段。
・理由としては、毎日遊ぶお金が欲しい、ブランドものが欲しい、ということをあげる。
・お金は、友だち付き合いのため、その出費は必要経費。
・お金のためとは、ヒマで退屈な空白の時間を作らないで遊ぶため。
・ヒマ=空白、自分の孤独を見つめること。
・傷つくことを回避しながら毎日を過ごすには、日常生活で空白の時間を作らないこと。
・夜遊びしたり、彼氏をGETしたり、ブランドものでおしゃれするのも空白を作らない一つの手段。
・本当に欲しているのは「ラブラブ」の彼氏。
・本当に欲しいのは、心から信頼しあえる友だちや恋人の愛情や、人から注目されること、お金だけでは得られないこと。

●自分をモノ化する
・ファションやメイクは一種の武装。男をつるための投資。
・実際は、女同士の戦い、あの女には負けたくないという競争。
・洋服はファッションよりも、男に選ばれるための戦闘服。
・生々しい自分を出さないためにはスタイルが必要。
・男をGETする自分の商品価値を上げるためには、
 「今」ファッションにお金をかけ、
 一番楽しいはずの「今」遊ぶ。
・ナンパされるために制服を着る。
・街で女子高生はナンパされやすい、
 制服がない学校の子もわざわざ制服を着て街をナンパされに歩く。
 わざわざ制服を調達する、他校の制服を着る。
 休みでも街に制服が多いのも、学校に行くのではなく、ナンパされるため。
・今の10代には、大人になっても今よりいいことがない、というイメージを持つ。
・男はおじさんになっても若い女の子をGETできるし、買ったりできるが、
 女の子はそれができない分、焦りが強い。
・商品としての賞味期限切れになることへの恐怖心がある。

●魅力的な男の子がいない
・女の子の場合、ある程度恋愛を重ねると、好きな人と「落ち着きたい」と思う。
・彼氏をGETするため、気に入られるだめ、相手のペースに合わせるため、疲れてくる。
・そうした不安定で将来性のない関係に疲れ、落ち着きたいと願う、
 次のステージに移行したいと思う。
・女の子が男の子と「とりあえず」付き合うパターンは2つ。
1.大した男じゃないと思いつつ「貢がせるだけ」と割り切る
2.ブーで大した男じゃないのに「好きだ」と思い込んで
 「ラブラブ」になりきろうと自分を盛り上げるパターン。
・男の子は、自分に自信が持てないと、自分の手に負えそうな女の子を探す、
 女の子は、自分と対等以上の男の子を探す。
・求めているのは、思い入れるだけの何かを持っていて、
 自分を拘束してくれる男の子。
 彼氏の夢の実現のためなら、自分が働いてでも支えたい、貢ぐことが夢。
・そんなに好きじゃなくてもお金のある男をGETしておく方が自分のため、
 という子は多い。お金持ちならキープしとく価値がある。

●ボランティアする若者
・自分をいい人だと思いたい。
・人を救うという正義を盾にして、自分が救われたい。
・自分の行動の正当性を持てるものがあれば、一時的にでも不安から逃れ、
 孤独を感じないですむ。

●走り続けること
・今の高校生にとって、彼氏彼女がいないこと、友だちと遊んでいないことは、
 大人の想像をはるかに超えて、強い孤独と疎外を感じること。
・とりあえず彼氏彼女を作り、ウキウキ気分、青春している状況を演出する。

●社会、諦め
・多くの女の子は、社会に出る前には、仕事で自己実現する夢を持っている。
 でも現実には、自分を生かせる仕事は少なく、夢を諦めるケースも多い。
・一流企業に就職しキャリアを重ねる人でも、早く出世の限界が見えてしまう。
・男性の場合、妻子を養うために、安定した経済力を得るため、会社を突然辞めたりは考えにくい。
・女性の場合、一人養えばいいというケースがほとんど。
 その分、自由度があり、本当に自分がしたいことは何?
 という本質的な問いを投げかけ、それを我がままに、大胆に追求する。
・企業はOLが行っていた業務をアルバイトや派遣社員へと外部化し、
 一般職の正社員を採用しなくなった。
・短大は次々に閉鎖されていく。
・学生時代までは平等なのに、就職活動を始めた途端、差別を感じるようになる。
・日本で労働時間が一番長く、睡眠時間が一番短いのは、
 子どもを持ち、フルタイムで働く女性。
・能力のある女性が、専業主婦になるのはもったいないと周りが残念がっても、
 仕事で自己実現することが目標でもなく、そもそも自分が何したいかも分からない、
 仕事をするストレスの方が大きいとも言う。
自己実現が果たせないことで、余ったエネルギーを子どもへの過度な期待となる、
 というゆがみも顕在化している。

●やりたい仕事が見つからない
・仕事で自立する志向も希薄、
 依存したいという意識もない、
 ただ、イヤなことはしたくない、楽をしたい、という本音がある。
・それは本能的に生き延びる方法を選びとっているだけ。

●抑圧された男性、迷う女性
・男性は「主夫」やフリーターなどの身分は選べない。
 こう生きろ、と強制されがち。
・一方、女性は、別の選択への可能性への迷いから抜けられず、安定できない。
・どう生きるかについては、他人に評価されるより、自分が納得できるかどうか。
・宗教以外に、よりどころとなり得るのは仕事と人間関係。
 仕事でも人間関係でも、よりどころを感じられない人に安堵はない。
・友だち、恋人、モノを確保することに執着するのも、
 よりどころを求めたいという意識から。
・お互いを尊重しあう打算のない人間関係が得難いものになっている今、
 傷つけ合う人間関係を回避した世代の中に、
 他者との関係性への渇望が強まっている。