チェンジモンスター―なぜ改革は挫折してしまうのか?

読みました。

チェンジモンスター―なぜ改革は挫折してしまうのか?

チェンジモンスター―なぜ改革は挫折してしまうのか?

ボストンコンサルティンググループの方が書かれた本、翻訳本なのでかなり読みづらいですが、それでも面白かった一冊です。
なぜ変革がうまくいかないのか、なぜジャマする人がでてくるのか、それらの疑問に答えてくれる内容で、その一連の格闘プロセスが分かりスッキリします。でも実行するのは感情をもった人間ですから難しいのでしょうけど。変革のプロが必要という言葉が刺さりました。どうやったらそんなタフなリーダーになれるだろうか、想像できん(笑)

●チェンジモンスターとは
・変革に伴う様々な人間的な問題、これをチェンジモンスターと呼ぶ。
 怪物のように、変革の途中で出現し、妨害し、挫折させようと暴れ、かきまわす。
・変革における組織内の感情的側面は、重要な意味を持つ。
・変革を進めると、感情や人間関係のもつれという攻撃にさらされる。
・組織を変えるとは、本質的かつ不可避的に、人の感情に関わるプロセス。
・気分とかではなく、より本質的な心のあり方。
 恐怖、好奇心、忠誠、偏執、落胆、楽観、激怒、驚き、喜び、愛情。

●チェンジカーブとは
・変革は決して直線的には進まず、大きくうねりながら進行し、
 変革曲線というジグザグの動きをとる。
 このプロセスは5段階に分けられ、各段階でチェンジモンスターの姿や
 暴れ方、退治方法が大きく異なる。
・これを理解しておけば、変革での心づもりが可能になり、
 かなりの部分で的確に対応できるようになる。

1.「停滞」
・冬眠しているチェンジモンスター
・組織というのはたいがい長期間、停滞する。
・貧弱な経営戦略、リーダーの不足、市場の変化、製品の欠陥、
 新商品や新サービスの欠如、経営資源の不足、重要な人材の枯渇、
 時代遅れの技術や仕事のやり方が要因。
・停滞期にピリオドを打つには、外側か内側から変えていく。
・権力と権威のあるリーダーグループ、CEO、取締役会、大株主
・外側:合併、買収、LBO規制緩和、民営化による構造改革
・内側:事業からの撤退、業態変革、組織再編、コスト削減、
 リエンジニアリング、新規株式公開。
 
2.「準備」
・リーダーが省略したがる段階、十分な時間をとり、合意形成を図る。
 期間が長すぎてもだめ。
・変革の意思決定がなされた時点でスタートする。
・特別会見、会議など劇的なカタチで発表。
 大半の従業員はマスコミを通じて知り、大衝撃を受ける。
・チェンジモンスターは冬眠からたたき起こされ、組織全体に
 感情的動揺を引き起こす。

3.「実行」
・変革への旅立ち
・リーダーが全体計画、各自の担当業務を発表、
 新たな指揮系統が設定され、業務プロセスが新規に導入される。
・これらが実行されると、チェンジモンスターは完全に覚醒する。
 脅威、恐怖、疲弊、不安に加え、混乱、無気力、憤慨、無力感、
 不信感など収集のつかない感情として現れる。
・実行計画を作ることだけが自分の役割と勘違いするリーダーが多い。
・リーダーとは、計画を具現化する動機を社員に与え、
 適切に実行されるべく一緒に汗を流すこと。
・リーダーが社員の考え方と行動を変えたいと思うのならば、
 まず自分自身の考え方と行動をガラス張りにしなければならない。
 人は新しい考え方を理解できなければ賛同もしないし、
 自分の信念を変えることもない。

4.「決着」
・最も変革が失敗する可能性の高い段階。
・社員は日々の業務の考えを直し、仕事のやり方を変更することに
 大きなエネルギーを注ぎ込み、疲れ切っている。
・ここにきて初めて、この変革が、これまでとは全く違った会社人生を
 送らざるを得ないことを具体的に分かりだす。
・退却というチェンジモンスターがオフィスを徘徊する。
・退却とは、無気力、絶望、課題指摘という行動に出る。
 「ちょっと変革にひと息いれる必要がある」、
 「少しの間、定常状態に戻す必要がある」等、
 もっともらしく聞こえる説明をして、変革の中断を正当化する。
・リーダーは、社員の期待感やエネルギーをコントロールし、
 社員が体験することをきちんと把握する。

5.「結実」
・長期にわたるつらい作業がすべて報われる段階。
・組織内のさまざまな変革活動が融合し、効果を発揮するようになる。
・チェンジモンスターは過去のものとなる、当分の間は。
・社員は自信にあふれ、前向きで活動的になり、焦ることなく仕事に取り組み、
 より短時間で、よりよい結果を生み出す。
・大切なことは、一度立ち止まり、みんなでその瞬間を味わい、
 つらい作業が報われ組織の変革が成し遂げられたことを確認する。
・組織にとって重要なことは、一度の変革ではなく、
 絶え間ない変革を繰り返す方法を継承し、変革への意思を不断に喚起すること。

チェンジマネジメントの道具箱
・チェンジモンスターとの戦いを有利にする手法やノウハウ。
(本質的な課題)
1.経営のものさしが相対的であいまい
2.コミットメット不足、覚悟不足
3.変革のプロの不足
4.変革へのインセンティブの欠如

チェンジマネジメント手法)
1.外のものさしにもとづいた高い目標を設定
2.組織をモニターするツールで武装する
3.変革リーダーの人事、抜擢
4.変革成功にはハイリターンで報いる