書いて生きていく プロ文章論
読みました。
- 作者: 上阪 徹
- 出版社/メーカー: ミシマ社
- 発売日: 2010/11/26
- メディア: 単行本
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先日、ストーリーテリングワークショップというものに参加してきた際、学んだことが、ストーリーを集める、作る、使う、共有するということ。そこで重要になってくるのが個人の逸話を集めてくるインタビュースキル、集めた逸話をまとめてストーリーを書くスキル、それを伝えるスキル。オーディエンスに応じたストーリーテリングを行いましょうというものでした。
当然、インタビュースキルやライティングスキルは個人に依存するため、「じゃぁ、そこどうやって身につけるの?」と悶々としていましたが、幸運にもそれを解決する本に出会うことができました。上阪徹さんのスゴ本! 装幀は寄藤文平さんのデザイン、ガツンときました。
●文章とは
・いい文章を書こうと思う前に、文章の怖さを認識すること。
・文章はあまりにも身近にあるもの。子どもの頃から慣れ親しんだもの。
放っておくと勝手に暴走する危険があるもの。
時として、人を傷つけるとんでもない凶器になりえる。
・手綱を握るように、文章の目的は何か、ターゲットは誰かを明確にすること。
・文章には慎重に接する、そのくらいがちょうどいい。
●文章の目的は何か
・文章の目的を認識する。
謝りのメールか、励ましの手紙か、新商品のアイデア提案か。
目的を明確にすれば、書く前段階の心構えができる。
・目的と対象がはっきりすれば、何を書くかはすんなり決まり、
優先順位も悩まずに決められる。
・何を書くかのヒントは、自分の頭の中でなく、外にある。
●誰に向けての文章か
・誰に向けて書くか、を意識する。
・自分でターゲットとなる読者像を決める。他の読者像は考えない。
極端な話、2割の読者像でもいいから深く突き刺さる文書を作る。
その方が明らかに意味がある。
・深くターゲットを絞るほど、意外にも他のターゲットにも気になる内容になる。
●文章を集める
・文章を書く、インタビューする前に、誰に向けてのものかを具体的にイメージする。
・何を書くか、の素材を集め、整理する、優先順位をつける。
・文章を書くとは、ゼロから書く訳ではない。
材料となるべき「話」はたくさん転がっている。
問われるのは、それをいかにキャッチできるか。
そのために必要なのは「誰に伝えたいか」
●取材、インタビューの仕方
・インタビューの基本姿勢として、話を聞き出すのは簡単ではないという意識が必要。
・インタビュー対象者が世の中からどう見られているのか、
読者像からどう見られているのかをつかむと、
ターゲットとなる読者が面白く読めるインタビューになる。
・自分がライターとしてどう聞こうかと考えるよりも、
読者なら何を聞きたいだろうか、と考えたほうがはるかにイメージが膨らむ。
●取材、インタビュー時の小技
(事前準備)
・質問は1時間のインタビューで10問。
事前にインタビューの流れをつくっておくことが重要。
・ダメなインタビューの典型例は、話があちこちに行ってしまうこと。
・インタビュー時は、資料を分厚くしてむかう、
資料が少なければダミーの資料を紛れさす。
事前にちゃんと調べているという印象を与える。
・取材の場合、事前に7割くらいの原稿をイメージしておく。
そして、それを少しでもくつがえせるような面白いインタビューをすることが目標。
(当日)
・ペン、レコーダーの電池、ノート、名刺、名刺入れ、複数持ち歩く。
・インタビュー、取材にはスーツ、ネクタイ。スーツを着て失礼になることはない。
・必ず早く到着する。
・最初の挨拶をきちんとする、相手の目を見て、頭を下げて、笑顔で、
きちんと名刺を差し出して、気持ちを込めて挨拶する。
(インタビュー時)
・最初に、取材の目的をきちんと説明する。
話す側も、どんな人がターゲットなのかで、話す内容や話し方が変わる。
・インタビューは原稿づくり、原稿の素材を集めること。
・この人にしか言えないこと、この会社にしか言えないこと、誰も聞いていないことを
必死に探すこと。
・目的に合致した話以外は関心を持たないこと。脱線した話はメモもとらない。
・インタビューの残り時間を確認するために、
腕時計を外して、テーブル上の質問項目の書いた紙のすぐ上に置く。
・インタビュー対象者が遅れてきた時は、遠慮無く遅れた分だけ時間を頂戴する。
こちらにはまったく非のないこと。堂々と予定分の時間をもらう。
・インタビューでは必ず録音する。
取材をさせていただくマナーの一つ。
●文章の書き方
・どう語るかではなく、何を語るか。
・文章に100点満点はない。
文章の評価は、どれだけ読者に理解してもらえたか。
どれだけわかりやすく伝えたいことが伝えられたか。
上手に書いているかどうかは評価にならない。
・文章はひねり出すのではなく、すでにある事実を組み替えていくもの。
・浮かび上がってくる事実を、できるだけ平易な言葉で、
できるだけ短いセンテンスで書き連ねること。
それが読者に、よりイメージを持って理解できる文章になる。
・便利な言葉を使わない。形容詞を使わないこと。
例:「良い会社」「ものすごく寒い」「美しい」
数字を使うこと、事実を語ること。
・慣用句は使わない。
慣用句とは、分かっているようで、実はよく分からない言葉。
・原稿を書いたあと、一度読み返す。
2度目は構成を確認。3度目は言葉を確認。4度目はリズムを確認する。
・書いたものは必ず、半日〜1週間寝かせる。
熱い気持ちで書いても、読む側は醒めている。
読んでいる中で思うことがあり、文章とは何かを図式にしてみました。