「わかる」とはどういうことか
読みました。
- 作者: 山鳥重
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2002/04
- メディア: 新書
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●心の2つの動き
1.感情
心の全体的な動きで、ある傾向を表す。なんとなくであって、理由はない。
2.思考
・心像を縦横に並び替え、それらの間に関係を作り上げる働き。
ある程度の形を相手にする。
・心理的イメージ。
・みかけの世界の背後にあるルールを発見しようすること。
●事実とは
・自分の周りに生起する出来事や、自分の周りに存在する事物で、万人が認める現象。実際に起こったこと。
・客観的事実。
●心像とは
・経験を通じて形成されるもの。
・心像の一つひとつが思考の単位となる。
・我々は心像を通して世界に触れ、心像によって自分に触れる。
・外界の客観世界を心像形成というやり方で読み取り、心像という形に再構成している。
●心像を獲得するには
・知覚(五感)を介して新しい経験を受け入れること。
・心は、好奇心→注意→知覚の流れで働く。
・何事も好きになること、好きなことでないと心は働かない。
・経験を通じてのみ形成されるもの。
・我々は外界を見ているだけではない、自分の心の中も見ている。
・夢は、我々がため込んでいる心像が、勝手に心の舞台に躍りでて遊んでいる。
●2種類の心像
1.五感に入ってくる感情、知覚心像
2.心が所有している心像、記憶心像
●「わかる」の第一歩は言語体験
・ある音韻パターンと一定の記憶心像が結びついていること。
・自分の中にも相手にも同じ心像が喚起していること。
・記憶にないことは分からない。
・意味とは、わからないものをわかるようにする働き。
・記憶と知識の網の目を作る
・わかるには基礎的な知識が必要。
知識は意味の網の目を作る。
網の目は知識を支える。
・そこには近道はない、言葉は10年以上かかる。
知識の網の目をつくるには、それだけの勉強が必要。
・人の差は、網の目を作り上げる人か、そうでないかの違い
●記憶
・単語の意味が分かるのは、その単語を聞いた時、
その単語の意味の記憶が引き出されるから。
耳に入ってくるのは記号音のみ、意味は自分の中から呼び出す。
●わかり方
1.見当をつける
2.分類する
3.説明する
4.空間関係がわかる
5.カラクリがわかる
6.規則に合えばわかる
●どんな時に「わかった」と思うのか
1.直感的に「わかる」
2.まとまることで「わかる」
3.ルールを発見することで「わかる」
4.置き換えることで「わかる」
●価値を判断する
・何かの価値を判断するには、比較が必要。
●「わからない」ことに気づく
・わかるためには「わからない何か」が自分の中になくてはならない。
・わからないとは、何か新しい問題に直面したとき、これは自分の頭の中には収まらないぞ、という感情。
・心の異物感。
・人は生物、生物の特徴は生きること。自分で生き抜くこと。よくわかるには、自分で分かること。
・自分で分からないところを見つけ、わかるようになること。自発性がないと、何の役には立たない。
・わかったことは言葉にできる、図にできる。
●わかり方の2パターン
1.答えが自分の頭の中に用意できるタイプ、学校で教わるタイプの理解
2.答えが自分の外にしか存在しないタイプ、自分で仮説を立ててゆくしかないタイプの理解
●生きるとは
・自分の足で立ち、自分の足で歩くこと。
世界に立ち向かうためには、自分が使えるしっかりとした海図を自分で作る。
そこではじめて大きく深い意味を発見することができる。