武器としての決断思考

読みました。

武器としての決断思考 (星海社新書)

武器としての決断思考 (星海社新書)

前回に引き続き、瀧本哲史さんの著書。本書はディベートをテーマに書かれた本です。
私自身、ディベートとは賛成/反対に分かれて議論するというレベルの認識でしたが、この本を読んで、その考えは一変しました。
物事を考え、決断する上でディベートのスキルは非常に重要なものだと思いました。相手を言い負かすためのスキルではなく、最善解を得るために賛成/反対の視点から議論し、その主張が本物がどうかを検証する重要なプロセスだと思いました。

ディベートとは
・議論を行って物事を決めていくこと
・議論に特定のルールを加えたものがディベート
・客観的に決断するための思考法
・ある行動を取った時に生じるメリットとデメリットを比較する
・主観的な意見/主張は横に置く。問題を賛否両方の視点から客観的に考える。
 問題の全体像を把握した上で、最終的な判断を下すための根拠を得る
・基本的には正しいことはなんだかよく分からないから、議論を通して「今の最善解」を考えよう、ということ
・最初から正解なんてものは世の中にはない
・歪みやすい個人の考えをぶつけ合うことで、修正し、より優れたものに昇華させる
・どういう結論を出したかではなく、どういった思考を経てその結論を導き出したかが重要
・万能の道具ではない、考えるための筋道をつけてくれる道具
・自分の主張を通すことよりも、自分の主張を無理やり通そうとしている人に反論することが大事なこと

ディベートの4つのルール
1. 特定の論題について議論する
2. 賛成側と反対側に分かれる
3. 話す順番、発言時間(制限時間)が決まっている
4. 第三者を説得する

ディベートの要諦
・準備が8割。準備がディベートの質を決める
・根拠が命。誰が言ったかではなく、何を言ったか

●論題(テーマ)を決める
・二者択一になるような具体的な論題を設定する「〜すべきか、否か」「〜は是か非か」
・議論に値するものを選ぶ
・明確に結論が出るものを選ぶ
・結論が出ないものは、雑談であり議論ではない

●メリットが成立するための3条件
1. 内因性(何らかの問題があること)
2. 重要性(その問題が深刻であること)
3. 解決性(問題がその行動によって解決すること)

●デメリットの3条件
1. 発生過程(論題の行動を取った時に、新たな問題が発生する過程)
2. 深刻性(その問題が深刻であること)
3. 固有性(現状ではそのような問題が生じていないこと)

●反論とは
・反論とは、メリットとデメリットが本当に正しいかどうかを検証するために必要な手順・反論=口答えではない
・反論は、メリット/デメリットの3条件に対して行う

●メリットへの反論 6つのポイント
1. プラン(論題の行動)を取らなくても問題は解決する
2. そもそも現状に問題ない
3. 質的に重要ではない
4. 量的に重要ではない
5. プランを取っても別の要因が生じるため、問題は解決しない
6. プランは問題の原因を正しく解決しない

●デメリットへの反論 6つのポイント
1. プランだけではデメリット発生にはいたらない(他の条件が必要)
2. プランの影響はデメリット発生にいたるには弱すぎる
3. 質的に問題ではない
4. 量的に問題でへない
5. プランを取っていない現状でも、問題は起こっている
6. プランを取らなくても、将来、同様の問題が起きる

●正しい思考の3条件
1. 主張に根拠がある
2. 根拠が反論にさらされている
3. 根拠の反論に耐えた

●推論とは
・主張と根拠の間にある、よく考えないと見えてこない前提の考え方、論理、思い込み

●推論の3タイプ
1. 演繹
2. 帰納
3. 因果関係

●判定
・最終的に生き残ったメリットとデメリットを天秤にかけ、どちらが重いか(重要か)を判定する
・判定はメリット/デメリットの「質×量×確率」で考える

●今日の一枚