マーケティング・インタビュー

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マーケティング・インタビュー 問題解決のヒントを「聞き出す」技術

マーケティング・インタビュー 問題解決のヒントを「聞き出す」技術

ちょうど仕事でユーザー調査を抱えている真っ最中に出会えた一冊。著者の上野啓子さんが調査におけるインタビューワーとしてのスキルを余すことなく伝えてくださっています。調査案件の業務に携わる方には必須の本かと。

●調査としてのインタビュー
・量的調査とは、売上高、シェア、消費者の行動や態度など、すでに起こっていること、決まっていることを中心に数値化して測定するもの。調査時間は30分以内。
・質的調査とは、態度、行動、まだ表に出てきていない心理や意識を探っていくこもの。調査時間は1〜2時間。

●インタビューで見えてくるもの
・商品に投影されている自己イメージの理想を見ていくこと
・人は理想を、ある対象物に見いだして、それを購入し、満足感を得る。その人の考え方、価値観、他人からどう見られたいかが反映される
・商品を購入するということは、ある期待感を持ち、その結果を確かめたいという気持ちの表れ
・インタビューワーは、その対象者の気持ちまでを理解しようとしなければ、彼らが持つ繊細で詳細な世界観をのぞくことはできない

●人を動かすには
・論理的なアプローチ、感情的なアプローチ
・「論理と感情の狭間」を探索する
・心の葛藤、理想と現実のギャップを読みとる

●なぜ、人は本音を言わないのか
・思いは伝えたい、自分を分かってほしい。しかし、それをそのままストレートに言葉にしたくないのが人間

●本音を語れない3つの要因
1. 見栄をはる
2. 社会的役割に縛られる
3. 暗黙知(人は必ずしも言葉を媒介とせずに物事を認知したり理解することがある)

●しぐさを読むための3つのポイント
1. 目の動きや視線
2. 手の動き
3. 体の向きや動き

●リアリティを確認、発見する
・インタビューの本質はリアリティの確認
・人は起こってしまった事実を、必ずあとから解釈し、記憶する。そうして事実は人の心に構築される
・同じ製品を見ていたとしても、同じ店に行ったとしても、同じ市場を見ていたとしても、人によってとらえ方は異なる。だからこそマーケターやリサーチャーにとってはその確認が必要になる
・人によってリアリティは1つではない、人は色々な社会的役割を担っている。親、子、上司、部下、弟、趣味サークルのリーダー…
・人の意識とは複雑で多面的なもの
・リアリティとは、物事や事象のとらえ方、その人の価値観の総体。生き方、価値を置くもの、人との交流の仕方、購買行動などすべてを含む
・リアリティが分かれば、価値観も理解でき、商品への期待感やニーズもわかるもの

●インタビューワーが守るべき3原則
1. あえて白紙の意識で挑む、仮説にとらわれずに広く聞く
2. まず受容の態度を示す、相手を否定せず批判せずに聞き出す
3. とことん「個の追求」を行う、普段考えていないことを話してもらう

●調査対象 4つのセグメント
1. 対象製品をすでに購入し、使用している人(現在使用者)
2. 対象製品を買おうと思っている人(購入意向者)
3. 対象製品を過去に買ったが、最近は買わない人(中止者)
4. 競合製品をすでに購入し使用している人(競合製品の現在使用者)

●行動、態度、意識、3つの視点で質問を考える
・商品に関する消費行動の意図を探る
複数の中から特定の商品を選択する理由を聞く
・使用製品の評価を聞く
・競合製品の評価を聞く
・他の製品を購入する可能性があるかどうかを聞く
・製品を使わない理由を聞く

●第一印象を必ず押さえる
・まずは全体の印象から述べてもらうこと

●オーダーバイアスに注意する
・人は最初に見たものに対し、ネガティブなことが印象づけられる
・バイアスを避けるために提示順序を変えること

●インタビュー対象者の言葉をどう受け取るか
・評価の悪かったものに注力して理由を探る
・悪いと思われたものほど改良の余地がある
・賛否両論の意見がたくさん出たアイデアが実は市場に出ると、インパクトある斬新なものとして受け入れられる可能性がある

●今日の一枚