すぐれた意思決定

読みました。

すぐれた意思決定―判断と選択の心理学

すぐれた意思決定―判断と選択の心理学

印南一路さんの著書。戦略的思考についての社内セミナーに出た際に、講師の方からオススメいただいた一冊。
すごくいい本でした。選択肢をつくること、意思決定するそのプロセス、判断するための創造力と創造力、個人の意思決定と組織の意思決定、それらの重要性をよく理解することができます。この本は何度も読まなくては。

●意思決定とは
・判断と選択
複数の選択肢の中から、1つないし複数の選択肢を選ぶこと
・選択すること
・高度な知的活動
・意思決定は、予測判断や因果関係のみならず、人それぞれの好み(選好)にも影響される
・予測は、意思決定のために行われる

●選択肢
・選択肢の価値=全ての次元の合計(相対的な重要性×価値)

●決定ルール
・選択するためのルールのこと

●評価する基準
・選択肢を評価するには、何を評価基準として選ぶかという判断と、評価基準同士の重み付けの判断が必要

●すぐれた意思決定とは
・目的に合っていること
・プロセスが重視されていること

●2つの意思決定論
1. 規範的、演繹的意思決定論
 ・合理的な人間であればどういう意思決定をすべきか、ゲーム理論
 ・人間が完全に問題を定義することができる前提
 ・プロのスイングをビデオで観るのが、規範的意思決定論
2. 記述的意思決定論
 ・実際の意思決定がどのように行われるか、実証研究
 ・実践で試していない、演繹的に導かれている前提
 ・練習場で自らの悪い癖を指摘してもらうのが、記述的意思決定論

●意思決定のフレームワーク
1. 問題の定義
2. 選択肢の発見
3. 判断基準の設定
4. 効用を最大化する選択肢の選択

●判断に必要な能力
・想像力と創造力
・将来の予測には今後起こり得る結果を想像することが必要
・様々な結果がそれぞれ、どれだけ起こり得ることか評価することが必要

●創造のプロセス
1. 準備段階
2. 生産段階
3. 判断段階

●創造的になるには
⒈ 思考チャネルの可能性を妨げないように準備する
⒉ アイデアの生産を自由に広げる状況にする
⒊ アイデアの評価をできるだけ先に延ばすようにする

●組織の意思決定
・多くの重要な意思決定が、個人ではなく集団によって行われている。組織は会議が多い
・豊富な情報と多角的視点
・高まる受容度と実現可能性
・責任の分散

●集団的意思決定の病理現象
1. 社会的手抜き
・努力目標を下げてしまう
・必死になって考えることをしない
2. 同調圧力
・集団内の大勢ある意見や態度に同調しなければならない
・問題は、同一圧力になる多数派の意見や判断が必ずしも正しいとは限らないこと
3. 少数派影響力
4. 集団極化現象
・集団で討論すると、個々人が志向するよりも、よりリスキーな案を志向するようになる
5. 過剰忖度(そんたく)
・誰も望んでいないことを、集団で決めてしまう
6. 病理的集団思考
・凝集性の高いエリート集団が、極めて重要な結果をもたらす意思決定を行う場合、病理的な現象が生じることがある
・不敗神話、無敵幻想、決定の正当化、敵を悪人とする、反対者への圧力、自己検閲、全員一致の幻想、自己防衛

●集団での意思決定をするには
・目指す方向性は、個人の場合と変わらない
・なるべく問題を多角的に捉え、想像力と創造力を働かせ、多くの選択肢を生成し、それぞれの選択肢の将来の帰結をできる限り正確に予測し、合理的な決定ルールに基づいて選択すること
・いかに病理的現象に陥らずに、集団としての強みを発揮するような意思決定ができるか

●集団での意思決定の質を高める
1. 異質なメンバーを許容する
2. コミュニケーション制御
3. 意見評価の一時停止
4. 悪魔の弁護人(皆の意見に対して、ことごとく反対する役割を担う人)
5. 情報技術の利用

●今日の一枚