感性の科学

読みました。

感性の科学―心理と技術の融合

感性の科学―心理と技術の融合

わかるということがわからないと言っていたら、職場の同僚が見かねてこの本を貸してくれました
大学院の時に使っていた本とのことです。私的には前半部分がかなりツボでした。

●消費者からユーザーへ
・人々はこれまでの製品(プロダクト)がもたらす直観的な機能から、心地よさ、安心、感動といった主観的で内面的な経験に欲求の矛先を変えている。
・従来のマーケティングでは、対象である消費者/顧客を、頭で論理的に思考し、合理的に判断する存在として分析してきた。
・しかし、今日の人々の購買行動/価値選択は必ずしも論理的/分析的ではなくなり、感情や直観で動く。
・定義された顧客から、それぞれの私的な動機や事情をもったパーソナルな存在へ、消費者からユーザーへとパラダイム変化が起こった。

●ユーザーインサイトと仮説創造
・消費者がユーザーへと質的な変化をした今、ユーザーの心と行動を深いレベルで理解することが起点として欠かせなくなった。
・ユーザーの心に響く新しい視点は、ユーザーやユーザーを取り巻く環境に対する深い洞察の中からしら見えてこない。
・ユーザーインサイトという深みにまで至るには、人々の感情や情動、無意識というレベルにまで下りていく必要がある。
・人々の日常の何気ない動作を観察し、そこにある本質的な意味や構造を捉えていくことが重要になる。

●プロトタイピング
・プロトタイピングという手法をうまく運営していくには、多様な背景と視点を持った人の集団を相互触発的な場へとうまく誘導し、そこから新たな仮説や経験値を引き出していくワークショップやファシリテーション技法が必要になる。

●デザインプロセス
・デザインは、その良さが伝わることによって初めて良いデザインとなりうる。
・デザインプロセスを考えるためには、わかること、表現すること、の関係性に注目する。
・経験値と暗黙知とが論理的な情報解釈によって表現されるところに感性の可能性がある。
・記述可能な知識だけでは、デザインプロセスを完全に把握することはできない。
・消費者とモノとの関係、暗黙知との関係で現象を考える。
・その対応関係を探るのが製品のデザインやマーケティングを行う際に重要である。
・デザインプロセスでは「わかった」という状態を作り出すことが何も重要。
・「わかる」ことは感性の働きがわかっており、暗黙的な知識に対するアプローチの方法がわかり方に影響する。
・よりよいわかり方を産み出すために、感性情報の理性的な転移を行うことがデザインプロセスの支援として有効である。

●今日の一枚