仕事のなかの曖昧な不安

読みました。

仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在

仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在

ここ最近読んだキャリアの本で紹介されていたので購入した一冊、玄田有史さんの著書。
公開されている膨大な各種の調査データを丁寧に読み解き、その事実から導き出された現代の若年層の姿です。

●働くことへの2つの不安
1. ハッキリとした不安
 (明確に認識されている不安、大量失業、労働力人口の減少、グローバル化による国際競争の激化など)
2. 曖昧な不安
 (明確な根拠のないよくわからない不安、格差拡大、二極化)

●若者がなぜ仕事を辞めるのか
・やりがい、誇り、満足を感じられる仕事に出会えるチャンスが与えられないから
・加えて仕事量がいちじるしく増大している
・新規採用を抑制し、何年も後輩社員が入社しない、いつまでも増え続ける末端業務を深夜まで行う
・より高い技能や知識の獲得ができるような社内でのステップアップの機会がない
・そんな状況の中、ある日、転職を決意する
・苦しいけど楽しい、そんな仕事がもっと若者に増えなけれなならない

●パラサイト化の本当の意味
・若年のパラサイトシングル化は、若年の雇用環境の変化が原因ではない
・企業内の中高年の雇用維持にともなう労働需要の大幅減退によって引き起こされている
・若者が親から既得権を享受しているのではなく、社会から既得権を与えられている中高年に、若者がパラサイトしている

●幸せな転職をもたらすもの
・転職者の特性は仕事志向とリスク志向
・不確実性の中に成功の可能性が見えている、リスクを背負うだけの何かがある
・転職を幸せするものは何か。紹介機関、能力、家族、縁故、同様、ではない。
・大事なのは、会社の外に信頼できる友人、知人がいるかどうか。
・職場以外に友人、知人のいることが、転職を総合的に満足度や納得度の高いものにする条件となっている
・違う職場にいる友人の仕事や働き方に転職後の自分を投影し、自分の転職成功の可能性を想像する
・その友人の仕事ぶりから、自分ならできそうか、といった判断の拠り所を得る
・30代〜40代の日常は会社と家庭の往復。新しい人間関係が構築されにくく、わずらわしくなる。それは転職や独立に際して大きな障害となる
・友人、知人の存在は所得や収入を改善させつ確率を大きく向上させる