いじめの構造

読みました。

いじめの構造 (新潮新書)

いじめの構造 (新潮新書)

ツイート経由で知った森口朗さんのブログ記事から、気になって買いました。
子どもが学校に通い出すようになってから、いろいろ問題も出てきます。
親心としては、安全に楽しく教育を受けてもらいたいもの。ハラハラ、ドキドキの毎日です。
先日、集団での帰宅途中にケガをさせられて口から血を出して泣いているとの近所の方からの一報。血の気が引く思いでしたが、その後の対処の中で、いろいろ勉強しました(汗)。
学年が上がるほどに、もっと色々なことが起きてくるでしょう、私自身の学生時代、寮生活でもそうだったように(苦笑)。
そのためにも、何かあった時の対処方法を知るためにも、ぜひ一読しておくことをオススメします。

●いじめはなくならない
・社会は、大人の世界はいじめに満ちている。
 我々は、日々いじめと付き合いながら生きている。
 ある時は耐え、ある時は逃げ、どうしても譲れない時は
 渾身の勇気を振り絞って戦う。それが、生の姿。
・そんな現実を生きている大人が、学校や子どもの話になると
 急に完璧主義者になり「いじめを撲滅する」と言い出す。
 そんな言動を信じることはできない。
・自分の人格や能力相応に大人ががハラスメントと付き合って生きるように、
 子どももいじめとリアルに付き合いながら生きている。
 どんな対策も現実を知らなければ始まらない。
 子どもが直面しているいじめの現実を知ること。
・いじめは解決できない、解決すべきでもない。対処するもの。
・学校にいじめは必要不可欠。
 親として、いじめの全くない学校に子どもは通わせたくない。
 社会にいじめが存在する限り、学校だけを「いじめ無菌状態」にすることは、
 子どもの発達にとって有益ではない。
・いじめに対する免疫力を持たずして、大人社会を渡っていくことは不可能。
 いじめに遭遇することなしに、いじめへの免疫力を得ることはできない。
 子ども時代に清潔すぎる環境で育つことは、子どものその後の人生を不幸にする。

●いじめの問題の本質
・学校にいじめがあることが問題ではない。
・問題は、学校において堂々と校内犯罪が行われていること。
 それを「いじめ」の名の下に放置されていること。
・恐喝、傷害、暴行、窃盗、ありとあらゆる犯罪が、学校で起こり、
 それをいじめとして処理している。

●いじめと犯罪
・学校での犯罪のほとんどが「いじめ」として不問に付され、隠蔽されている。
 学校が、先生が犯罪をいじめとしてもみ消している。
・いじめの問題の解決の第一は、この異常性を解消すること。
 「いじめ」と「犯罪」を峻別する。
・子どもの世界だけ、学校内だけが法律無視のダブルスタンダード社会。

●対処方法
・いじめ、犯罪の被害者は、証拠を押さえて、直接警察に訴えること。
 警察は証拠に基づいて加害者と逮捕、補導する。
 その後、家庭裁判所の審判により、少年院に行くか、少年刑務所に行くか、
 保護観察処分になるかが決定される。
・被害者には、いじめ、犯罪の証拠を押さえる義務がある。
 証拠を押さえた上で、学校に処置を要求する。
 いじめが犯罪にあたる場合、学校に判断の余地はない。
 警察に校内犯罪を告発する義務が発生する。
・犯罪にあたらない場合、いじめ認定権は学校にある。
・現在の学校の異常さは、いじめが存在することではなく、
 校内で犯罪が行われ、それが「いじめ」の名の下に犯罪として
 扱われていないこと。

●誰が犯罪を「いじめ」にしているのか?
・国家権力を憎むカビの生えた日教組思想と、
 教師は、いじめ被害者を守り、
 いじめ加害者を更正させるべきと考える教師聖職者論、
 少しくらいヤンチャな方が立派な大人になるいった牧歌的青春イメージ。
 オールド左派、オールド右派・懐古派の共同正犯。
・情緒でいじめは救えない。
 犯罪者は警察に引き渡す、これが基本。

●いじめ対策を考える時に「人権」という言葉は使わない
・人権の価値は無限大、思考停止状態に陥る。
・人権ではなく、具体的に何が侵害されているのかを考えること。
・暴力を受けるいじめ被害者は、毎日学校で殴られる。
 彼は、学校で安全な状態で教育を受ける権利を侵されている。
 加害者を出席停止にすることで加害者のどんな利益が侵害されているのか。
 彼が失うのは利益は、クラスのみんなと一緒に授業を受けることだけ。
 これに何の問題があるのか?
 暴力系いじめをした者は出席停止、何の躊躇もいらない。
 そんな簡単なことが「人権」対「人権」で途端に分からなくなる。

●2つのいじめ対策
1.いじめ予防
2.事後対策

●いじめの4分類
1.子どもたちの成長過程の中で当然に発生する軋轢
2.従来型コミュニケーション系いじめ(集団無視)
3.犯罪型コミュニケーション系いじめ(メール、ネット利用した嫌がらせ)
4.暴力、恐喝系いじめ(リンチ、校内犯罪)

・学校が対処可能なものは2のみ
・1は教師が見守り、子どもたちで対処するもの
・3、4は司法の手に委ねるべき犯罪

●いじめに関する妄言
・以下のフレーズは、すべてウソ、デタラメ。
 いじめ被害者を癒すための言葉。

1.見て見ぬふりをする者も加害者
2.いじめは加害者が100%悪い、被害者には何の問題もない
3.いじめっ子も被害者です
4.いじめなければいじめられる
5.心やさしい子がいじめられる
6.出席停止は最後の手段である
7.出席停止は対処療法に過ぎず、本質的な解決にはならない
8.管理教育、受験偏重教育がいじめを生む
9.いじめる奴はいじめる、いじめられる側が強くなるしかない
10.いじめを根絶しなければなりません