会社は頭から腐る
読みました。
会社は頭から腐る―あなたの会社のよりよい未来のために「再生の修羅場からの提言」
- 作者: 冨山和彦
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2007/07/13
- メディア: 単行本
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内容としてはかぶるところが多々あるのですが、一番の違いは、経営者はどうあるべか、について多く語られています。机上論ではない、人間同士の本性、生々しい部分が描かれています。
●戦略とは
・そもそも戦略とは、その通りにならないのが本質。
・実践の場面では、常に人間が絡み合っている。
・彼らの行動や思考も気まぐれで、相互に絡み合いながら、
意外な動きを繰り返していく。
・何事も人間的要素が入った瞬間から、結果は不確定性が急に高まる。
・戦略が仮説にすぎないという本質を理解し、
PDCAを回すことに勢力を注ぐ企業こそ、戦略経営が実践できていると言える。
・悪い会社になると、戦略の立案はあっても、検証がない。
やりっ放し。PDCAが回らない。
・戦略力とは、より合理的な戦略仮説を構築する知的能力と、
それを実行しながら的確かつ迅速にPDCAを回す組織能力のかけ算。
そのいずれもその過程に関わる人々によりパフォーマンスが左右される。
●企業の強さ
・企業の強さを分けるのは、PDCAの回転力の差。
・初期的な戦略施策の善し悪しなどより、この違いがはるかに大きい。
・PDCAを回すというのは、簡単に見えるが、
人間の本性と違うものを要求される。
基本的に人間は、見たい現実しかみたくない生き物。
PDCAはやりたくないのが当たり前。
・経営はだから難しい、自然とやっていると、見過ごしてしまう。
本性に逆らう行為を自然にできるレベルに高めるには、
意識的に実践する訓練を繰り返すしかない。
・常に自分のおかしいところを見つめ、直していく。
直したらまた、おかしいところが気にかかる。
どこまでも自分の姿が見えてくるのが経営の仕事、PDCA。
●日本企業の強さ、弱さ
・日本は、ゲイマンシャフト的な社会。
集団でいることが自然、帰属とムラ人。
・海外は、ゲゼルシャフト。利害社会。
・日本企業の根本的な競争力は、経営者の優秀さではなく、現場の強さ。
・動かない上層部、
動かしたい若手、
風見鶏状態のミドル層。
・現場を動かしているのは若手。
・管理者も上層部もいなくても現場は動く。
企業は問題なく進んでいく。
・そもそも人間は40歳を過ぎたあたりから、生産性が下がる。
40〜50代で付加価値のある仕事ができる人は、少ない。
さらに肩書きがつき、部長、取締役になったとしても、
そこに付加価値をつけられる人はほとんどいない。
・やらなくてもいい仕事をしている管理職が多い。
自分でモノを作るわけでも、売るわけでもなく、
接待に出かけ、判を押し、会議で威張るだけの存在。
・管理職で付加価値をつけるのは、相当な能力が必要。
・欧米では、管理職、経営職の選抜と養成には、
社会も企業も本人も相当のコストと労力をかける、
それだけ大変な仕事。
・学歴や年功序列で管理職になるシステムでは、
ほとんどの人が無能になる。
・残念ながら、人材としての日本人の国際競争力は、低下の一途。
特に、経営層、マネジメント層、リーダー層は、アジア最低レベル。
ガチンコの真剣勝負で鍛えられる機会がなかったから。
・日本企業の競争など、所詮は競争ごっこ。
・24時間365日、戦わなければいけない現在の状況の中で、
本気で闘う気があるのか。ビジネスは戦争なのだ。
外との戦いは、殺すか殺されるか。
●企業の再生、事業再生とは
・企業の再生は、社内の「言い訳」との戦い。
・当たり前のことを当たり前にやる、ということ。
・当たり前のことができなかったから、再生会社、再生事業になっているだけ。
・それができるかどうかは、会社のトップからラインの組織と人材のDNAに規定される。
・再生とは、組織と人材の習慣を変えること。
・これを長年にわたり、徹底的に追求しているのが、
エクセレントカンパニーと呼ばれる企業群だ。
●リーダー、部下は役割
・職業にはヒエラルキーや序列はない。
リーダーというのは役割にすぎない。
そこに序列はなく、部下は部下の役割を果たせばいい。
・リーダーだけでは組織は成立しない。
・スーパー部下として、どんなリーダーからも求められる人材になること。
その方が、無能なリーダーよりも、市場価値は高い。