ディベートで説得・交渉に強くなる本

読みました。

ディベートで説得・交渉に強くなる本―実践ディベート法入門

ディベートで説得・交渉に強くなる本―実践ディベート法入門

土山信人さんの著書。先日の瀧本さんの本を読んでいて無性にディベートに興味が湧いてきて手にした一冊。
ディベートのアプローチってすごいですね。証拠―推論―結論を1セットにして、目的>現状>分析>提案>実行可能性>問題解決性>利点>緊急性
を検証してくプロセス。どれだけ証拠を集められるか、そこからいかに自分の考えを研ぎ澄ましていき、アイデア発想を繰り返し、結論へと導いていけるか。ビジネスでの企画、提案、プレゼンの流れそのままですね。ジョブスのプレゼン真似る前にまず、自分の提案をしっかり筋を通さなくては、ディベートではすぐに弱点が見破られてしまいますね。文末に掲載されているディベート設計シートは、そのままビジネスの企画書になるのではないでしょうか。すごい本でした。

ディベートとは
・民主主義と多数決、多数決とディベート
ディベートは民主主義国家で暮らす人にとって、理解すべき言論活動
・議会とは、スピーチとディベートの場所
・多数決制度を実施するための言論活動がスピーチとディベート
・そこで勝つため、支持者を獲得するために必要なのが「演説」「討論」
ディベートとは、対立状態での言論のこと
・ケンカにならないようにルールがある
・人と人との対立は、考え方と考え方の対立
・相手が対立者でなければ、自己の推論の意見だけで相手は納得する
・相手の弱点を白日のもとにさらすこと、見えない弱点を浮き彫りにする効果

●天秤の原理
・両者の言い分をはかりにかけるようにそれぞれ主張、意見、証拠を出すこと
・両者、真正面から意見を戦わせること
・8争点ごとに天秤がある、その皿に載せる分銅が結論、推論、証拠
・はかりの両側に同じものが載ってつり合いがとれている状態はご破算、勝負つかず
ディベートは第三者のジャッジに判断をゆだねる
・市場の判断や多数決で決定するのは近代の原則
・ジャッジに伝わらない議論は価値がない
・相手に対して説得はしない、説得する相手は第三者、ジャッジとよばれる人
・営業マンはお客様を打ち負かすのではなく、他社の営業マンの提案を打ち負かすこと

●8争点
1.理想目的(目指す理想的な状態)
2.現状弊害(目的に対して不十分だとする現状の弊害)
3.原因分析(不十分さの原因追究)
4.政策提案(原因を除去し、目的を達成する手段)
5.実行可能性(その政策を実際に行えるかどうかの検証)
6.問題解決性(行えたとして実際に効果がでるかどうかの検証)
7.利点(その効果を出すに当たって、他に利点はあるかどうかの検証)
8.緊急性(今すぐやらないといけないかどうかの検証)

●ことば
・主張とは、強く言いたい意見。命令形、断定調の表現
・意見とは、考え
・考えとは、2つ以上の物事についての関係(つながり)を述べたもの
・つながりの表現は、因果関係、目的手段、比喩、一般化など
・感想とは、心に感じる思い
・議論とは、意見と主張があって成り立つもの。感想を述べ合うことは不適切
・議論とは、証明の連続。証明がない議論は、ただの語り
・証拠とは、誰もがすぐ分かる事柄。必ず引用元を明らかにすること
・論拠とは、証拠のうちの権威ある考えを記述したもの
・推論とは、自分なりの考え
・結論とは、推論の結果、インパクトのある要約、何らかの価値判断を下した主張/表現
・結論とは、人が一番知りたいこと、人間の問題解決に必要なポイント
・証明とは、分かりやすく説明すること、主張がぶつかり合った後に必要な手続き

●証明の3つの方法
1.論証 論拠のみの積み重ねで証明する方法
2.実証 事実を集めて、その中から推論する方法
3.論証と実証の混合

●議論の4原則
1.議論には主張がある
2.主張する者は、証明の手続きを必要とする
3.議論の一単位は、証拠―推論―結論、の3要素のセット
4.反対するものは反論、反駁する義務がある

●証拠の4種類
1.事実とデータ
2.証言(人的証拠)
3.論拠(理論のよりどころ)
4.常識(ある集団、地域社会での共通の認識、知識)

●推論の7つの方法
1.一般化、類比(おおざっぱに事実との関係を述べたもの)
2.因果関係(事実とのつながり)
3.目的手段(Aの目的はBである)
4.逆説発想(アイデアマンの発想法)
5.構造化(単純化されたモデルへの置換)
6.飛躍(評論家の発想法)
7.兆候(預言者の推論)

●問題解決とは
・問題とは、目標(ありたい姿)と現状のギャップ
・問題解決の手順は現状分析、解決策、実施、検証
・基準からの逸脱問題を解決するのは発生型の問題解決
・新たな課題を探索するのは創造型の問題解決
・将来の問題を予想して今から対策を講じる予防型問題解決

●論理構築の3類型
1.論証
2.実証
3.混合型
+発想法(論理のつながり、推論の展開、考え方の作り方)

●今日の一枚